令和2年度修了式を行いました。

令和2年度修了式を行いました。
緊急事態宣言が解除になり、久しぶりに体育館に集まっての式となりました。
以下は校長先生のお話の内容です。


皆さん、おはようございます。

さて、緊急事態宣言が今週22日から解除になりました。それに伴って、本校でも部活動を段階的に再開しています。「待ってました!」と思う生徒が多いと思いますが、あくまでも段階的に再開です。これまでオンラインで活動していた部活もありますが、あまり最初から飛ばさずに、少しずつ元の活動に戻してください。

一方で皆さんご存じの通り、緊急事態宣言が解除になっても、感染症予防対策を怠っていいわけではありません。これまでどおり、不要不急の外出は控えるとともに、下校後の生徒だけでの会食やカラオケなどは、絶対に慎んでください。明日から春休みで、気候も暖かくなり、ちょっと出かけたくなる気持ちは理解できますが、そこは抑えて、感染拡大防止にチーム石神井で取組みましょう。

先日3年生の卒業式を挙行しました。今年の卒業式も卒業生と保護者のみで実施しました。来賓は招待せず、在校生は代表だけ、そこで卒業生の皆さんに話したことも含め、理数の学習と芸術の学習の大切さについてお話ししたいと思います。

今、世界各国でSTEAM教育という取り組みが行われています。このSTEAM教育とは10年ほど前にアメリカで始まった教育モデルのSTEMから由来します。つまり、Science, Technology, Engineering and Mathematicsの頭文字を並べたS、T、E、Mです。2000年に入ったアメリカで、社会はますますIT化が進む一方で、理工系の人材が不足していることを懸念して学校教育に科学・技術・工学・数学を統合的に取り入れようとするプロジェクトでした。つまりすべての生徒が理数を学ぶ必要性があるということです。そしてそれが今では発展し、日系アメリカ人ジョンマエダ氏によってこの4要素にArtつまり「芸術」が入り、S、T、E、A、MのSTEAM教育となっています。ジョン氏は次のように提唱しています。「サイエンスとテクノロジーが20世紀の世界経済を変えたように、アートとデザインは、21世紀の世界経済を変える」と。全生徒に「理数」だけではなく「芸術」の学習も必要になってきたということです。

私が経験した例を挙げます。ウォータータンクというものがあります。柱でやぐらを組んだ上に水のタンクがあるものです。このウォータータンクの模型を作成します。ストローを何本か使ってやぐらを組み、その上に糸で紙コップを設置して、どのグループが一番多く水の代わりのビー玉をタンクに入れられるか競います。小学生の遊びのようですが、これがなかなか難しく、凝れば凝るほど高度な学習になるのはわかりますね。単に数学・理科などの単体の学習を超え、ストローや接着剤の素材や強度を考え、数式、力学やエネルギーや運動などの物理学的な知識を活用して作成します。まさに科学・技術・工学・数学をすべて活用して最強な模型ができることになります。さて、ところで模型はできましたが、目的が強度を高めることだったため、形が今一美しくない。しかしながら、人間が暮らしていくうえで、機能が優れているだけでは、人間の生活にはなじみません。これが芸術性、感性であり、これを含めたものがSTEAMという発想です。

日本でSTEAM教育の推進をしている、数学者でジャズピアニストの中島さちこさんはこのことについて、「STEAMのA・Artは未来をえがく力」として、『現代は「もっと安く、機能よく」というようなわかりやすい課題はだいたい解決しており、喜びや幸せを生み出すには「感じる力」がないと難しく、どのようにそうした創る力や問題解決力、感じる力を育むかが重要だ』と話しています。

つまり皆さんはこれからのAI社会に生きていくにあたって、単に自分を文系や理系に分けることなく、理数的な思考・論理構成とともに新たな発想を生み出す芸術的な感性が必要になってくるということです。だから理数と芸術の学習が重要となってきます。そしてこのSTEAM教育は早稲田大学ラグビー元主将、山羽教文さんが立ち上げたSTEAMスポーツや、エコロジーを加えたESTEAMなどの発展をする動きもみられています。この視点は世界でとっくに始まっています。これからこの視点を持って学習に、行事に、部活に励んでください。

あすから春休みです。次年度への準備も含め、充実した春休みを過ごしてください。そして健康には気を付けて、また元気な姿を見せてください。